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木は燃えにくい

February 22, 2017

昨年12月に発生した糸魚川市駅北大火は、私たちに大きな衝撃を与えました。そして、木造家屋を中心とした147棟もの建物が一夜にして焼失した映像を見て、「やはり木造の家は燃えやすい」とイメージされた方は多いかもしれません。

 

 

|地元工務店が手がける小さな邸宅|上越・糸魚川・妙高の木の家|キノイエ

薪は表面が炭化し、周辺を少しずつ燃焼させながら長時間かけて芯にたどり着く

 

 

確かに木は燃えます。しかし、燃えることと、住まいの構造体としての耐火持久力が弱いこととはイコールではない、むしろ、一見木造よりも燃えにくく強いと思われがちな鉄骨造の方が耐火性能が低いという事実をご存知の方は意外に少ないのではないかと思います。

 

 

薄い木材や細かく砕いたチップを火の中に入れると、すぐに燃えてしまうことは誰にでも想像がつきます。しかし、焚き火でいきなり生木の角材や厚板を燃やそうとしてもなかなか火が点きにくいという現象でもお分かりのように、実は木は簡単に燃えにくいという性質を持っています。実際、太い角材を燃やそうとしたとき、表面は焦げて燃えていきますが、燃えた部分が炭となり、炭化層を形成します。これにより、木の内部にまで熱が伝わりにくくなると同時に燃焼に必要な酸素が内部まで供給されず、燃焼の進行を抑える役割をします。柱材など木の中心部まですぐに燃焼してしまうことはほとんどありません。実は本来、木造住宅というのは、万一火災で焼けても、構造の強度そのものはほとんど変わらないことがわかっています。

 

 

炭化木

表面は炭化しても中はそのまま

 

 

一方、火に強い素材と考えられている鉄は、木材よりも過熱によって変質するまでの時間が非常に短く、250℃を超えてくると変形が始まり、5分もたたないうちに元の強さの半分ほどになってしまいます。550℃を超えると強度は急激に低下します。その点、木材なら20分以上耐えられる性質を持っています。あれだけ頑丈に見える鉄骨造の建物であっても過熱によって構造体がいとも簡単にぐにゃりと折れ曲がり、木造住宅よりもはるかに短時間で家屋倒壊の危険性が高まります。その証拠に、同一強度の木材と鉄骨材による燃焼実験でも、木は鉄より火に強いことが実証されています。一般的に消防士たちの間で「木造住宅よりも鉄骨住宅の方が怖い」と言われるのは、実はこうした背景があるからです。もちろん、鉄骨造の構造体には、「耐火被覆(たいかひふく)」と呼ばれる、熱から守るためのコーティングが施されるようになっていますが、素材の性質を単純比較しただけでも、木は鉄よりも火災に弱いというのは、誤った情報であるということがお分かりいただけると思います。

 

 

<標準加熱試験による各素材の強度変化>

標準加熱試験による木材の強度変化

 

 

今回のような大火でも、柱や梁からいきなり燃えたわけではありません。開口部や軒裏など、防火対策が十分にされていなかった部位から延焼した可能性は高く、強風により発生した飛び火(といっても火の玉のような大きな破片)が古い屋根や軒の隙間等から建物内部に侵入したり、防火対策の施されていないガラス窓を突き破って侵入することで、内部の燃えやすい素材に燃え移ったことで大きな延焼を引き起こしたのではないかと専門家の間では考えられています。木造の防耐火に詳しい桜設計集団(東京都渋谷区)の安井昇代表によると、「築年数がある程度古い木造で、引っ掛け桟瓦の場合、強風などで瓦が僅かに浮き隙間が生じる。糸魚川大火のように大きな火種が着床し瓦などに引っ掛かると、この僅かに生じた瓦の隙間から炎が入り込むとともに、強風によって送り込まれた空気によって野地板と瓦の間の空間でかまどのように炎が大きくなり、野地板に燃え広がった可能性が考えられる」と説明しています。(日経ホームビルダー2/16より)

 

 

これにより、最終的には柱や梁などの太い構造材であっても限界を超える燃焼時間が続いたことで大きなダメージとなりました。現在の新築住宅では、そうした延焼の恐れのある素材を外装に使用しないことや、飛び火の侵入を防ぐ工夫など、年々進化しています。「木は燃えやすい」は誤解です。木造住宅にはこの他にも多くの魅力をもっていることを少しずつ知っていただければと思います。

 

 

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