新光町モデルハウス日記⑧「地元産の床板をていねいに仕上げる」
December 3, 2024
先日おかげさまで無事に新光町の家が完成しました。
その完成する直前、スタッフ4人で床板の塗装をしてきました。
新光町の家では、カネタ建設の本社がある、糸魚川産の杉の床板を使用しています。
その床板に、「キヌカ」という自然塗料を染み込ませた布を使って、床板1枚ずつ丁寧に塗装してきました。
誰でも簡単に塗ることができ、セルフメンテナンスが可能なため、きれいな状態を長持ちさせることができます。1~2年に一度、ご家族で年末の大掃除の日に塗るなど行事にしても楽しそうです。
使用しているキヌカという塗料は、米ヌカから出来ています。そのため人肌にも優しく、赤ちゃんがなめても大丈夫な塗料です。
また、溶剤が含まれていないため、においがなく、ずっと杉の香りを楽しめます。
仕上がりは、ワックスのように塗膜を作ってピカピカになるのではなく、塗料を木に浸透させるので、木の素材を活かし、やわらかな光の反射によって、目に優しいしっとりとした仕上がりになります。
毎日触れる床だからこそ、身体に優しく、心地よい足ざわりに。
休みの日は居間で家族みんながころころ日向ぼっこしてくれたらいいな・・・とか、いつかこの家に住んでくれる人を想いながら、仕上げました。
新光町モデルハウス日記⑦「庭も居間」
November 29, 2024
庭木が植わり、ウッドデッキも完成しました。
このウッドデッキには朝日があたり、庭木の木陰が出来ます。
田んぼの時期になると、用水路に水が流れ、水の音が聞こえてきます。
ふと、枝の先をみると紅葉が始まっていました。
寒くなってきたので、庭木からも秋が感じられます。
日々の生活で四季を感じるのは、通勤・通学や外にいる時間を想像しますが、家の中からも四季や紅葉が楽しめられたらうれしいですよね。
忙しい日々の中で、「あ、赤くなってきた!」と発見できるとなんだか心が癒されます。
居間から連続する庭は、ただの外ではなく、外にある居間のような、ついつい出たくなる居場所になっています。
新光町モデルハウス日記⑤「西日と影のお話」
November 22, 2024
間もなく完成の新モデルハウス「新光町の家」。
15時ころ現場を見に行ってきました。
まず目に入ったのが、西日に照らされた糸魚川杉の外壁。
・
・
おうちのお顔が照らされ、昼間とはまた違う色味に見えました。
外壁は2種類の張り方をしており、ゲヤは縦張の押縁仕様、ベースは横張です。
同じ杉で同じ塗装をしていても、張り方を変えることで表情も変えることができます。
・
・
・
・
・
日の当たる時間は、木の重なる部分に影ができ、その影の線が温かみのある木の表情を引き締めてくれます。また影にも濃淡ができていて面白いですね。
木の表面はラフ仕上げと言って、機械でツルツルに仕上げず、あえてザラザラした質感を残す仕上げにしています。その理由は、塗料の浸透をよくするためです。
この塗料は木に浸透させて、木の中の成分に反応してシルバーグレーに変えるものです。この塗料には防腐の成分も入っているので、よく染み込ませることで長持ちさせてくれます。
そのため、表面がざらざらだと表面積も増え、浸透もよくなり、また、マットな質感になるため、しっとり落ち着いた印象の外観になります。
家の中に入ると、窓からも西日が差しこんでいました。
・
・
/
/
昼間の光とは異なり、赤みがかった光。
私にとって西日は、小学生のころの、友達と公園で遊んで、夕方5時のサイレンを聞き、夕日を背に家に帰っているときを思い出すような、なんだか懐かしい気持ちになります
・
横から差し込むので、光は奥まで届きます。
時期によって変わるので、窓際に花や枝ものを飾ると、また面白い影が出来そうです。
新光町の家は西面がお顔になっているので、ぜひ夕方の西日に照らされているところもご覧いただきたいなと思います。
・
・
新光町モデルハウス日記④ 餅まき上棟式
August 22, 2024
先日、無事に新光町の家の棟上げが行われ、8月11日の山の日には餅まき上棟式を行いました。
上棟式(餅まき)は、柱や梁などの骨組みを組み立てる建前(たてまえ)の締めくくりの工程として屋根の頂部に棟木が組み上がった際に行う儀式の事を言います。
家屋の守護神、工匠の神さまにこれまでの工事の無事を感謝し、その先の竣工までの順調な進捗を祈願します。また、施主の氏名・施工の年月日等の名前を墨書した棟札を棟木に据え、家の貴重な記録として残します。
・
・
・
・
上棟式で屋根の上に付けられる吹き流しには、五色の旗が用いられ魔除けの色です。この魔除けの色は古代中国の五行説(ごぎょうせつ)に由来し、 現世をなす大事な要素と考えられる五元素の「木・火・土・金・水」は方位や季節、時間、十二支、惑星、人体の内臓などの他に色彩をも現します。当日は、晴れ渡る空に五色の旗がなびき無事に上棟式を収めることが出来ました。
・
風になびく五色旗を見上げるスタッフの顔が本当に嬉しそうで、完成を楽しみにしている笑顔が印象的でした。
・
・
式の後は、いよいよ餅まきです。「餅まき」では、餅やお菓子などを屋根から撒いて、地域の人たちへ振る舞います。
・
餅をまく目的は、諸説ありますが、一般的には、様々な厄災を避けるためで、神饌であり保存食でもある餅をまくことが広まったとされています。そして、この上越地域では小銭をまく風習も残っています。「家を建てる」ということが、地域の住人たちによる助け合いの共同作業であったことに由来し、穴の開いた硬貨に紅白の紐を通して投げる風習には、「よきご縁となりますように」という意味も込められています。古くから大切にされてきた建築儀礼ですが、最近は略儀で行われることも増えており、見かけなくなったと思う方も多いのではないでしょうか?
・
・
・
・
上棟式や餅まきには「飾り物の一つである五色の吹き流しのノボリを腹帯にすると安産になる」や「餅まきで撒かれた餅を食べるとお産が軽くなる」など、人の誕生に関するような言い伝えもあり、近所で建前が行われると今か今かと餅まきを楽しみにしていたものです。
・
この日は猛暑にもかかわらず、新光町の家の前には沢山の人が集まってくれました。
オーナー様とそのご友人やご親戚、新光町にお住いの近所の皆様にお越しいただき私たちスタッフも楽しい時間となりました。下屋の上から用意していた沢山のお菓子やお餅を撒き、下では楽しそうに拾う子供たちの姿。近年、特に上越市内では見かけなくなった餅まき。
参加されたオーナー様の中には、自分たちもすればよかった!と言われる方もいれば、親子で参加することが出来て子供たちにもいい思い出になったという方もいました。
ご近隣の方は「初めて参加しました!楽しかったです」と、お話してくださいました。
上棟式は、何よりお施主様自身が「家を建てている」という実感を強く感じることのできる一日です。そして、ご近所の方々やご親戚・お友達の皆様とも出会いが深まるひとときでもあります。一度しかないこの儀式を私たちは皆様に体験し、楽しんでいただきたいと思っています。昔ながらの餅まきをご近所の方々やオーナー様、お客様と楽しむことができ最高の夏の一日となりました。
・
新光町モデルハウス日記③ まちの風景
July 8, 2024
設計担当Sさんは最近、朝のウォーキングを始めたそうです。
・
・
・
・
朝の澄んだ空気を吸って、朝日が樹々を照らす様を見ながら歩くのはとても気持ちが良く、歩道沿いの家々やそのお庭など、車でただ通り過ぎているときにはあまり気が付かなった人々の暮らし、まちの風景に触れることができて、とても新鮮な感覚があるのだそうです。
・
ちなみに、今の季節は、アジサイがまちかどの所々に綺麗に咲いていて、この季節だけの彩りを見せてくれています。
そんなSさん、kinoieの考え方の一つとして、「まちの風景をつくる」という考え方があると話してくれました。
設計者は、決められた敷地の中に一戸建ての住宅を設計しますが、実は、まちの風景を同時に設計していることになります。
頸城の家スケッチ
陀羅尼町の家スケッチ
・
・
その住宅自体は新築ですが、まち全体として見ると、増築・リフォームというわけです。現代町家を提唱されている趙先生は、「風景のリフォーム」だとおっしゃいます。
・
kinoie新光町の家も、町の風景としてふさわしい佇まいを目指して設計しています。道路に面した正面(ファサード)はゲヤにして、高さを低く抑え、圧迫感をなくし、道を通る人々の目を愉しませる、季節折々の植栽。そして、奥に長い敷地形状を活かした、奥行き感のある配置と、コヤのガラス戸から、ちらりと見えるウッドデッキ。落ち着いた佇まいの中にも、建築的なわくわく感があります。
・
・
・
・
新光町の家モデルハウス(西側)
・
・
新光町の家モデルハウス(東側)
・
・
個人の家でもあり、同時にまちの家でもある。
永く、そのまちの顔として存在する住宅であって欲しい。
kinoieにはそんな想いが込められている・・・そう語ってくれたSさんの楽しそうな表情がとても印象的でした。
・
・
新光町モデルハウス日記② 「地鎮祭 地縄から見える景色」
June 28, 2024








新光町モデルハウス日記① 「はじまり〜4つの想い・ひとつの解」
June 21, 2024
2024年4月某日、ある日の夕方。設計チームが集まる重要なミーティングの様子から。
昨年から水面下で話し合われていた新しいモデルハウスの構想がいよいよ動き出し、この日は建物の方向性を決める重要な日となっていました。
実は今回、4名の設計担当者がそれぞれの考えに基づいたコンセプトとラフプランを出し合い、コンペ形式でその中から1案を選定しようということになっていました。
プランにあたり、年代、家族構成、趣味などお施主様の想定モデル(ペルソナ)を決め、4人がそれぞれ半日かけて即日設計しました。
テーブルに広げられた4つの異なる手書きプラン。・・・それを見た全員が驚きました。なんと、何の申し合わせもしていないはずの4人の設計コンセプトがほとんど共通していたのです。
道路から玄関までの雁木アプローチ、住宅が隣接する南面をあえて閉じ、景観が広がる東側に視線が抜ける、デッキとのつながりが心地よい居間・・・でも、これは単なる偶然ではないのかもしれません。
建築予定地である上越市新光町の敷地は、間口が少し小さく東西に奥行きのある西面道路の区画。その敷地に対する捉え方、ありたい暮らしのイメージについて、4人が同じ方向を見ていたのです。
建築に答えはない。でも、住み慣れた上越・糸魚川での暮らし方はこうありたい・・・
そんな建築思想を共有できる設計チームをとても頼もしく、また誇りに思った瞬間でした。
新モデルハウス「新光町の家」は、今年の12月頃の完成を目指しています。
これからこのブログで、完成までの進捗状況、建物の設計思想、見どころについてお話ししていきたいと思います。
次回のブログもどうぞお楽しみに。