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二種類ある「日本の森」

August 21, 2017

日本の森.jpによりますと、日本の国土面積は3779万haあり、そのうち森林は2512万haの面積を有しています。つまり、私たちの国土の約7割は森林なのです。世界を見渡すと、森林の減少は加速しており、毎年東京都の面積の約24倍もの森林が消滅しているというデータもある中、日本の森林面積は約40年間ほぼ変わらず。むしろ森林蓄積量は年々増えているのだそうです。

 

 

 

 

森林の保有率を世界で比較した場合、日本は先進国の中でフィンランドに次いで2番目の高さ。そう、日本は世界有数の森林国なのです。ところが、一方で日本の木材自給率は約3割。使用する木材の約7割を輸入しているのが現実なのです。

 

 

世界有数の森林国なのに木材は輸入に頼っている日本。なぜこのようなことが起こるのでしょう?

 

 

その謎を解くカギは日本に存在する「二種類の森」です。

 

 

日本に存在する森林2512万haのほぼ半分(約1300万ha)は「天然林」と呼ばれ、自然の力で生まれ育ったまさに天然の森林のことを指します。日本の天然林の多くは広葉樹林で、日本人の暮らしと共にあった里山や鎮守の森、あまり人が入らない奥山まで、天然林は幅広く分布しています。

 

 

 

 

一方、残り半分の森林面積のうち、約4割の1000万haにあたる部分に「人工林」と呼ばれる林があります。人の手で植え育てられた人工林の約9割は、スギ、ヒノキに代表される針葉樹林。生長が早く建築資材等に利用できるため、高度成長期である昭和20~30年代頃に、戦後の復興に必要な木材を確保するために政府が実施した「拡大造林政策」によって増加したといいます。当時の家庭燃料は木炭や薪が中心。木材は生活に欠かせない存在だったため大量に植林されました。

 

 

 

問題はこの人工林です。この人工林の多くが現在「手つかず」の状態になっていることをご存知でしょうか。このブログの冒頭、日本は現在、7割の木材を輸入に頼っているとお話ししました。頼ることになってしまったその原因は、建築業界が住宅の工業化に伴い、海外からの安い木材の輸入に業界が流されてしまったことに端を発しています。この状況はしばらく歯止めがかからず、やがて、日本の林業は次々に音を上げていきました。これまで日本の人工林は、密植をして後に間伐をするという独特のやり方によって、良質な木を育ててきました。手間暇をかけて大切に森を守ってきたわけです。ところが、人工林を管理する者がいなくなれば、当然間伐が行われなくなります。間伐が行われないと、密植された杉やヒノキは、本来間伐により根元まで届くはずの日光を遮り、お互いの栄養を奪い合い、徐々にやせ細っていき、一部は朽ちていきます。「植えたまま」の状態が続くと、その森林はまるで雑草が密集したような荒れた山林となり、時に水害や地崩れなどの災害をも引き起こすことがあります。現在、日本全域で、この「手つかずの人工林」が拡大し、下の写真のように荒廃した森林が各地で見られるようになってしまったのです。

 

 

 

 

一方で、今でもしっかりと人工林を守り育てている方々もいます。奈良県橿原市、吉野岡橋山の十七代目当主である岡橋清元さんは、1haあたり1万本の苗木を植え、それが100本になるまで、およそ250年かけて、10年に1回ずつ、代々に及び、息長く伐採し続けているのだそうです。

 

 

※写真はイメージです。

 

 

収入の源泉は、その間伐材。間伐材といっても樹齢は130年を超えた大木です。当然ですが、昔と比べて採算性は落ちていくため、「作業道づくりの名人」として知られる林業家の大橋慶三郎さんに師事し、25年前から山間部を網の目のように通る林道づくりを手掛けることにより、伐採から運搬までの効率性を上げ、いつでも良質でしっかりと育った大木を出荷できるような体制をつくっています。

 

 

※写真はイメージです。

 

 

日本の森林を守ることは、日本の木材を守り、日本の家づくりを守ることにつながります。

 
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