安全祈願と復興祈願
January 6, 2017
1月5日よりキノイエは年始の業務を開始いたしました。
初日は、毎年恒例の安全祈願祭からのスタートです。
会場は、糸魚川市内にある「天津神社」様。『古事記』『日本書紀』に登場する景行天皇の時代の創建、孝徳天皇の勅願所であったと伝えられており、糸魚川市の中心的な神社。4月には、能生の白山神社の白山神社舞楽とともに国の重要無形民俗文化財に指定されている舞楽奉納(俗に「稚児の舞」と呼ばれる)が執り行われる「けんか祭り」の舞台としても有名です。
昨年末に発生した糸魚川市駅北大火を受け、同日開催予定の新年会は自粛とさせていただきましたが、この安全祈願だけは予定通り開催。
安全祈願祭には、建築部門の他、土木部門、介護事業部門を含めカネタ建設の社員が大集合します。工事の安全はもとより、今回は被災された皆様が一日も早く元の生活を取り戻すこと、そして元気なまちを再興することを第一義に、そして社員と家族の幸福、社業の発展を合わせて祈願させていただきました。
そして、本日からは、糸魚川市内の大火被災地域の瓦礫撤去作業が正式に始まり、いよいよ復興の第一歩を踏み出しました。
がんばろう糸魚川!まけるな糸魚川! この合言葉をもとに、地域の心を一つにして美しいまちを復活させていきたいと思います。
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2016年ダイジェスト(後編)
January 5, 2017
前回に引き続き、2016年のダイジェストをブログ記事からお送りいたします。後編の今回は、10月~12月です。
10/26 お月見会
カネタ建設では、お正月の「新年会」から始まり、互助会主催で開催する2月の「アンコウ会」、4月の「お花見会」など、最低でも年6回の懇親会が毎年開催されています。参加メンバーは、住宅建築事業のスタッフだけでなく、不動産、土木、介護など、様々な部門の仲間が一堂に会し、部門の壁を取り払ってみんなが和気あいあいと懇親を深めます。今ではどの企業でもあまり飲み会を開かなくなったという話をよく耳にしますが、企業の力であるチームワークの源泉は、こうした家族のような関係を持つことではないでしょうか。
ブログ記事:10/29 お月見会
10/29・30 高性能エコハウスセミナー&木の家マルシェ#2開催
これもまた初めての企画!「窓・構造・断熱パネル・換気の一流専門メーカー担当者が直接教える! 高性能エコハウスのしくみ大公開」と題し、住まいの高性能化に欠かせない窓・構造・断熱パネル・換気システムに関して、実際に多くのハウスメーカーや工務店の住宅づくりに関わってきた専門メーカーのスペシャリストたちを招いて、高性能エコハウスの仕組みや性能の違い、会社選びのヒントを直接聞くことができる企画をご用意しました。同時に、10/30は「木の家マルシェ」の第2弾を開催。今回のマルシェには、新たに「とうふ工房 矢代」さんと、ごはん麺で話題の「妙高食品」さんが参加いたしました。
ブログ記事:10/31 初めてのコラボセミナー&マルシェ第2弾
11/20 木の家マルシェ#3開催
10月に引き続き、木の家マルシェの第3弾を開催。毎回強く感じるのは、参加されている出店者の皆様のモノづくりに対するこだわりと愛着。「ウチの商品は本当にいいんですよ!」と語る皆さまのその表情からは、自信と誇り、そしてこの地域に対する深い愛着が滲み出ています。また、出店者さん同士が材料の事、加工の仕方等、積極的に意見交換を行っていました。本当に熱心ですね。いつかコラボ商品ができるといいなと期待がふくらみます。
ブログ記事:11/21 木の家マルシェ#3開催報告
11/26 冬の暮らし方見学会 開催
シーズンイベント2016年の締めくくり、テーマはずばり「冬のあたたかい暮らし」。高性能エコハウスを実現するキノイエのモデルハウスにご来場いただいたお客様は皆、会場である「塩屋新田の家」の玄関の中に入った瞬間、「わぁ!とても暖かいですね!」、「本当にエアコン1台でこの暖かさなんですか?」と驚きの感想を口々にされていました。そういう意味では、まさにキノイエの本当の実力を感じていただける季節なのです。また、お楽しみ企画として、「クリスマスリースづくり」「クリスマスオーナメントづくり」の企画も。スタッフ特性のポトフも大人気でした。
ブログ記事:11/26 冬の暮らし方見学会(一日目)
12/7 方針発表会
カネタ建設全社の2016年度下期方針発表会。カネタ建設の方針発表会は、毎年半期に一度(6月・12月)開催され、全社の各部門代表者による前半期の反省と課題抽出、そして後半期の方針と行動目標を全社員で共有するとても重要な場。この形式になって、今回で26回目。ですので、今年で13年目を迎える非常に歴史ある発表会です。
ブログ記事:12/7 方針発表会
12/17 忘年会
新年会に始まり、アンコウ会、花見会、納涼会など、ほぼ2ヶ月に1回のペースで開催している懇親企画の締めくくりは、文字通り「忘年会」。運営は会社内に組織されている互助会幹事の皆さんによって毎回様々な企画が催されます。今回は、焼山温泉清風館様にて開催。大変盛り上がりました!
ブログ記事:12/19 忘年会
いかがでしたでしょうか?今回ご紹介させていただいたダイジェスト記事の他にもたくさんの出来事をご紹介した記事や家づくりにお役に立つ情報などが満載です。ぜひ、一つひとつの記事をお読みいただければ幸いです。
キノイエブログは、今年も精力的に皆様に有益な情報や楽しい話題をお届けしてしてまいりたいと思いますので、引き続きご愛読のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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2016年ダイジェスト(前編)
January 4, 2017
昨年2016年6月より正式にスタートしたキノイエ。このブログは、モデルハウス「塩屋新田の家」グランドオープン前日の6月17日から、糸魚川市駅北大火が発生した12月22日までの間、一日も休むことなく毎日更新で、皆様に様々な情報やコラムをお届けしてまいりました。
本日は、そのグランドオープンから年末までの約半年間のうち、9月までのブログ記事からダイジェストで振り返ってみたいと思います。
6/17 ブログスタート
すべての始まりはここからでした。かつてどこにでもあった日本の家から学んだ「暮らしのスタイル」。それを現代の生活スタイルに育て上げること、それがキノイエのめざす暮らしのスタイル。小さくつくって大きく暮らす。この妙味をぜひ体験し、楽しんでいただきたいというメッセージからブログはスタートしました。
ブログ記事:6/17 はじめまして、キノイエです。
6/18 モデルハウスグランドオープン!
上越モデルハウス「塩屋新田の家」のグランドオープン!スタッフみんながドキドキしながら当日を迎えましたが、ご来場のお客様からも「暮らしのイメージがすぐに沸く!」、「木の香りが本当に気持ちいい」、「こういう空間がちょうどいい」などなど、嬉しい感想の声、そして、家づくりと暮らしに対するたくさんの夢、思いをお伺いすることができました。とても会話も弾み、あっという間に時間が過ぎていきました。私たちにとっても本当に楽しく有意義な時間となりました。
ブログ記事:6/19 グランドオープン初日~ご来場ありがとうございました。
6/25・26 糸魚川市内にて完成見学会(平牛の家)
糸魚川市内で開催されました「平牛の家」完成見学会。途中一時的に入場制限がかかるほど、本当にたくさんのお客様にご来場いただきました。
ブログ記事:6/27 たくさんのご来場ありがとうございました(糸魚川 平牛の家 完成見学会)
7/19 上越エリア協力業者様との納涼会
上越地域の協力業者さんとキノイエ上越支店のスタッフが一堂に会し、大勢の仲間で納涼会を開催しました。趣味をはじめとしたプライベートの話や、意外なところでつながる人脈の話、そして、その人の内に秘めている熱い思いなど、普段の仕事の場面では聞けないような話がたくさん飛び交いました。
ブログ記事:7/20 納涼会
7/23・24 「涼」を楽しむ暮らし方見学会開催
キノイエ初のシーズン見学会「暮らし方見学会」。夏のテーマは「“涼”を楽しむ暮らし」。なんと当日は、スタッフも浴衣&甚平の衣装でお出迎え。前日に社長の思い付きで急遽決定し、みんな大慌てで浴衣を用意(笑)それにしても、みなさんとてもお似合いです。。
ブログ記事:7/24 浴衣で見学会
8/11 「オレンジフェア」開催!(カネタ建設感謝祭)
キノイエの母体であるカネタ建設が、この上越地域で暮らす全ての人への感謝の気持ちを込めて贈る大切な還元祭です。そして私たちスタッフにとっても「人の展示会」、及び「研修の日」と位置付けている大切な一日。12年目となる今回は、おかげさまで過去最高4,000名(報道発表)というご来場をいただきました。
ブログ記事:8/12 大盛況御礼
9/18 「木の家」マルシェ#1開催
キノイエの新しい試みとして始まった企画。『木の家マルシェ』とは、衣食住の分野における『地産地消』の大切さと『安心・安全・健康 』な暮らしに共感する仲間たちの手によってつくられる「小さな暮らしの市場」です。キノイエの理念、マルシェの開催主旨に共感いただき、記念すべき第1回目の出店者は、「こびと窯」さん、「スゥイーツ工房くみ」さん、「土の香工房cotocoto」さん、そして「農業組合法人ファーム富岡」さん。ここから、キノイエと上越地域の様々なこだわりのお店とのコラボレーションが始まりました。
ブログ記事:9/19 木の家マルシェ大成功
9/24・25 秋の暮らし方見学会「おうちキャンプ」開催
ソトとナカをつなぐ、キノイエの住まいだからこそできる暮らし。そこが住宅街であることを忘れるような空間を楽しもう。秋の暮らし方見学会として選んだテーマは「おうちキャンプ」。夜はなんと「キャンドルナイトラウンジ」も開催。おうちを舞台に、他にはない休日の過ごし方を提案させていただきました。
ブログ記事:9/26 おうちキャンプ&キャンドルナイト
いかがでしたか?この間、キノイエスタッフの周りでは他にもたくさんの出来事があり、とても充実した約3ヶ月間した。私たちの考えや家づくりにとってとても参考になる様々な情報なども含め、詳しくは、ブログの記事を一つひとつお読みいただければ幸いです。
次回は、いよいよ10月~12月の後半3か月間をダイジェストでお届けします。どうぞお楽しみに!
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解説「パッシブハウス」その3(最終回)
December 22, 2016
3回シリーズでお贈りした「パッシブハウス」の解説も本日が最終回です。
さて、ようやく弊社が昨年、富山県黒部市で施工した「前沢パッシブハウス」の話をしたいと思います。
設計は日本におけるパッシブハウスの第一人者でもある森みわ氏(キーアーキテクツ代表)。森みわ氏は、日本国内でパッシブハウスの普及啓蒙を推進する団体「一般社団法人パッシブハウスジャパン」の代表理事も務められております。そして、この建物の発注者(=お施主様)はYKK不動産株式会社様。つまり、国内サッシの大手メーカーであるYKK AP株式会社をグループに持つYKK株式会社が関与する特別な思い入れのある建物です。そして、その陣頭指揮をとったのは、グループ連結売上高7,400億円超、社員数4万4,000名を超える巨大組織のトップである吉田会長ということからもこの建物には並々ならぬ思いが込められていることが想像できます。
YKK吉田会長と森みわ氏との雑誌対談での出会いから始まったこの「前沢パッシブハウス」プロジェクト、実はこの業界においてはとても革命的な出来事でした。これまで日本の住宅の窓性能は世界的にみて非常に遅れをとっているとされてきました。しかし、3.11東日本大震災を契機に、前述した国内のエネルギー事情に対する不安と省エネ機運の高まりも合わせ、YKK AP社は弱点であった窓性能の強化に全社をあげて取り組むことを決断。その努力の結晶として登場したのが、「APW430」シリーズと呼ばれる高性能樹脂窓でした。ファスナーに始まり、アルミサッシが主力製品であった巨大企業が次世代標準に選んだ窓が、熱伝導率を極力低下させた「樹脂窓」ということ自体が非常に革新的であり、吉田会長率いるYKKグループが本気で世界に通用する窓をつくろうとした情熱がひしひしと伝わってきます。
そして、現在YKKが本社所在地としている富山県黒部市に建設されたのが、この「前沢パッシブハウス」なのです。前々回のブログ記事「その1」でも触れましたように、パッシブハウスはその段違いの高性能基準により、国内にはまだ10数件程度しか施工実績がない建物です。その中にあって、「前沢パッシブハウス」はいくつかの点で国内においてエポックメイキング的な位置づけの建物として業界から注目を浴びており、これまでにも数多くの建築関係者がこの建物に視察に訪れ、業界誌や住宅会社のブログ記事としても取り上げられております。
その大きな特徴は以下の2点です。
その1
【国産サッシを使用した日本初のパッシブハウス認定】
実は、日本国内でこれまで認定を受けたパッシブハウスには全て、海外製品の高性能木製サッシ等が使用されていました。つまり、これまではあまりの性能ギャップにより、国産サッシでは認定が取れないという事実がありました。しかし、この前沢パッシブハウスでは、前段で触れたYKK AP社が自信をもって世に送り出した高性能樹脂サッシ「APW430」(トリプルガラス仕様)を採用することで、国産サッシとして日本初となるパッシブハウス認定を受けた建物になります。このニュースは、業界に大きな衝撃を与えました。
その2
【気候条件の厳しい北陸エリアでの初のパッシブハウス認定】
認定された性能数値は、熱損失係数(Q値)=0.86(W/㎡K)、外皮平均熱還流率(UA値)=0.19(W/㎡K)、暖房負荷=15kwh/㎡・年という値になります。現在、日本の次世代省エネ基準で示されている北陸地域の性能値は、外皮平均熱還流率(UA値)=0.87(W/㎡K)以下、北海道基準までレベルを上げても0.46(W/㎡K)以下とされていますので、その性能差は歴然です。専門的な数値になりますので分かりにくいかもしれませんが、感覚的な表現でいうと「化け物」レベルの性能値です(笑)。どれだけ凄い数値であるかということを言葉で表すのは難しいですが、外気が0℃以下の環境でも、建物内に入った瞬間、その人の体温だけで室内温度が上がると聞いたら、その意味が伝わるのではないかと思います。それだけ、現在の日本国内の「高気密高断熱住宅」という基準が、世界レベルで見た場合にあまりにも説得力が薄いという事実に気付いていただければ、それだけでも皆様にとって大きな収穫になるのではないかと思います。
そして、ここで力説したいのは、その設計数値を現実に施工で実現することは非常に至難の業であるという点です。本体の断熱仕様も通常の住宅の施工レベルとは比較にならない高度な技術を要求されます。壁はフェノールフォーム80mm+セルロースファイバー200mm(東西)/240mm(北)がメインで、天井はセルロースファイバー300mmと断熱材の厚みとその収まりは通常の住宅建設とは比較にならない複雑さ。その上で非常に高レベルでの精度を要求されます。今回、前沢パッシブハウスの隙間相当面積(C値)は0.1㎠/㎡でした。これは、40坪の家に換算するともはや切手1~2枚分程度の隙間、つまり、ほぼ「隙間なし」と呼べるレベルの施工精度です。私たちカネタ建設の技術力が問われるデリケートな部分でもありましたが、建築スタッフたちの努力により、見事に設計の要求レベルに応える建物として完成させることができたことで、YKK AP社をはじめとする関係者の皆様より非常に高い評価をいただくことができました。(このことが、現在YKK様よりK-TOWN二期工事にて社員寮6棟同時施工を任されるきっかけにもつながっていると思います)
YKK APが社のプライドをかけて挑んだ日本初オール国産サッシ使用、かつ気象条件の厳しい北陸エリア初のパッシブハウス認定という、前例のない住宅建設は、絶対に失敗が許されないという点で、同時に弊社の社運を賭ける案件でもありました。設計の森みわ氏曰く「まるで三輪車のメーカーが、いきなりF1の設計図を渡されて作ったみたいね(笑)」と表現。それだけに、このパッシブハウスの成功は、私たちにとって大きな転換点となりました。この建設に至る過程で、上越地域でいちばん最初に省エネ建築診断士の資格を4名同時に取得するなど、カネタ建設の建築スタッフは、温熱環境に関する知識レベルを飛躍的に向上させ、また前例のない高度な施工経験を通じて、地域の高性能エコ住宅を推進するトップランナーとしての確かな手応えを得ることができました。
この成功の裏には、多くの関係者の皆様の支援があります。吉田会長をはじめとするYKKグループの多くの関係者の皆様、森みわ代表、青山さんをはじめとするキーアーキテクツの皆様、そして、きっかけをつくっていただいたオーガニックスタジオ新潟の相模社長・・・他にもここではご紹介しきれないほどの素晴らしいご縁と、挑戦するチャンスを与えて下さった多くの関係者の皆様に、あらためてこの場をお借りして心から感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
3回に渡り解説してまいりしました「パッシブハウス」に関するブログ記事、最後までお読みいただきありがとうございました。これから住まいづくりを考える皆様にとって、少しでも知っておいて損をしない内容の情報をお伝えしたつもりですが、分かりにくい点もあったかもしれません。このブログでは、これからも、時々こうした住宅の性能知識や、住宅業界の真実の部分をお伝えすることで、皆様のお役に立てればと考えています。
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解説「パッシブハウス」その2
December 21, 2016
昨日の続きです。
昨日のブログでは、日本の住宅業界のZEH(ゼロエネルギー)基準の考え方と、電力事情が深刻化しているヨーロッパ諸国の「アクティブな設備に頼る前に、まずは建物性能(断熱・気密)を高いレベルに上げておく、つまり「パッシブ(受動)」を優先してゼロを達成しよう」という考え方の違いについて触れました。
しかし、現在、日本の電力事情も深刻化したヨーロッパ諸国と同じような未来へとまっしぐらに進んでいます。今や国内の全エネルギー消費量の約14%が家庭用。石油ショック前の1973年から2011年までの間に、2倍以上に増加しています。このまま家庭でのエアコン使用が抑制されずに電気消費量の拡大が続けば、化石燃料のほとんどを輸入に頼る日本国内のエネルギー事情に深刻な影響を与えることになります。近年、ようやく日本もその現状に危機感を持ち始めたところですが、商業主義に傾倒する住宅業界の取り組みの遅れ、様々な利権構造による業界変革の遅れ等により、一般の住宅購入者への認知が遅れ、先述のZEHの例のように、若干間違った理解が広がっているような状況下にあります。(日本のエネルギー事情と電気料金の未来については、以前のブログ記事「未来の支出増加リスクを抑えるために」をご参照ください)
つまり、住宅の選び方で、これからますます生涯コストの差が大きくなることはほぼ間違いなく、家の燃費「光熱水道費」の圧縮には、高い断熱気密性能をもった住宅を選択することが不可欠です。パッシブハウス・ジャパンのサイトには、このような説明があります。
‟家の燃費がよくないのに、いろんな設備を足してごまかす家が、増えています。
たとえば、一般的に「スマートハウス」といわれている家が、燃費が良いとは限りません。
断熱はそこそこに、設備でしのぐ。すこし極端ですが、「凍えるハダカに大量のホッカイロ」そんなイメージの家が増えています。
機能性の高いインナーを着れば、使い捨てホッカイロはいりません。家の中身をしっかりさせれば、快適は長持ちするのです。
設備は、いつか壊れてしまいますが、ちゃんと建てられた家は100年持つ。だからパッシブハウスは、”家そのもの”の性能にとことんこだわります。”
ZEH(ゼロエネルギー住宅)という一見万能に聞こえる言葉に惑わされず、また、その時代の高性能をうたう省エネ機器を選択する以前に、省エネ機器の運転効率を上げ、かつ導入台数を減らす元となる住まいの外皮性能を上げることを第一に考えなくてはいけません。
昨年、弊社が施工を担当させていただいた「前沢パッシブハウス」(富山県黒部市/発注者:YKK不動産株式会社様)は、その考えに基づき、ドイツパッシブハウス研究所の認定を受けて国内12例目のパッシブハウスとして昨年11月に竣工を迎えました。
続きは、明日のブログにて。いよいよ、この「前沢パッシブハウス」の性能の高さについて触れてみたいと思います。
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解説「パッシブハウス」その1
December 20, 2016
弊社が施工を担当させていただき、昨年11月に竣工を迎えた世界最高水準の省エネ性能、ドイツパッシブハウス研究所認定の「前沢パッシブハウス」(富山県黒部市/発注者:YKK不動産株式会社様)、度々こちらのブログやサイト上にてご紹介しておりますが、今回は、この「パッシブハウス」について、本日より3回に分けて少し詳しく触れてみたいと思います。
まず、「パッシブハウス」は一体何者か?ということから、なるべく丁寧にご説明したいと思います。
様々な住宅会社がこの「パッシブハウス」の言葉を使用しており、一部に間違った解釈の記述や、拡大解釈して使用されているケースも見受けられますが、正確には、ドイツの物理学者ウォルフガング・ファイスト博士が発案し、1991年にパッシブハウス研究所(ファイスト博士が創設)で確立された省エネ基準です。「年間の冷暖房負荷」(※1)「気密性能」(※2)「住宅全体の一次エネルギー消費量」(※3)の3つの項目で一定の基準(※4)を満たすと認定されます。
※1 冷暖房負荷
室内の快適な温湿度を保つため、冷房・暖房で必要とするエネルギー量。
※2 気密性能
密閉により、空気の流れや熱・水蒸気などの出入りを妨げる性能。
※3 一次エネルギー消費量
電気やガスなど、住宅で消費するエネルギーを作り出すために必要なエネルギー(石油・石炭)を熱量で表したもの。
※4 パッシブハウス基準
「冷暖房負荷が各15kWh/m2以下であること」「気密性能として50Paの加圧時の漏気回数が0.6回以下であること」「一次エネルギー消費量(家電も含む)が120kWh/m2以下であること」の3つをクリアすることで認定される。
・・・すぐに理解するのは難しいですね(笑)ということで、ここからは、もう少しかみ砕いた解説になります。
日本におけるパッシブハウスの第一人者でもある森みわ氏(キーアーキテクツ代表)が代表理事を務める一般社団法人パッシブハウス・ジャパンのウェブサイトでは、パッシブハウスを「厳しい燃費の基準を乗り越えた家のこと。断熱材や高性能な窓、熱ロスの少ない換気システムなどを駆使して、寒さや暑さをガマンしない、快適さを生み出す家。 自然の力を最大限利用し、少ないエネルギーで、快適な暮らし。日本の気候風土を利用した燃費の基準」と解説しています。この背景について、さらに丁寧に解説してみたいと思います。
現在、日本の住宅業界では、ZEH(ゼロエネルギー住宅)という言葉があたかも省エネ住宅の最終形のように宣伝されている風潮がありますが、この分野に関して実は日本は非常に遅れた後進国。日本のZEH基準は、エネルギーの取得や消費プロセスはあまり重視されず、太陽光発電などアクティブな機器を多用すればOKになるよう設定されています。若干乱暴な表現を借りると、家の価格を安く見せるため、家の性能を多少下げてもオプション機器の組み合わせで「ゼロにできますよ」、つまり「機械依存」「帳尻合わせ」のZEHでも構わないという状態を生み出しています。大手家電メーカーや特定機器を量産販売したいハウスメーカーにとっては非常に好条件の環境ともいえるでしょう。(ZEHの理解については、ブログ記事「本物のゼロ・エネルギー住宅はどれ?」をご参照ください。)
それに対して、ヨーロッパの住宅の省エネ化に関するスタンスは全く違います。その時代のアクティブな設備に頼る前に、まずは建物性能(断熱・気密)を高いレベルに上げておく、つまり「パッシブ(受動)」を優先してゼロを達成しようという考え方を基本に置いています。つまり、冷暖房機器や発電機を拡充する前に、家そのものがまとう衣を最高レベルに引き上げましょうという考えです。こうすることで、いかなる時代の変化や機器類の栄枯盛衰にも影響されることなく、家の省エネ性能を担保することができます。
※一般社団法人パッシブハウス・ジャパンより
その考え方の違いは、国レベルのエネルギー政策に対する危機意識の違いからきています。以前のブログ「世界一「燃費の悪い住宅」」でも触れている通り、国が義務とする住宅の省エネ基準レベルの違いが大きいと言われています。特にドイツを中心としたヨーロッパ諸国では、早い段階からエネルギー供給不足が深刻な問題になっており、エネルギー消費のウェイトが大きい住宅の断熱性能を上げることで、一次エネルギーの消費を抑えようと努力してきました。つまり、家庭での電力浪費は国としての大きな問題なのです。電気料金も日本の価格とは段違いの高さであることからも、その深刻さは私たちの想像をはるかに超えるものがあります。
【電気料金(家庭用)の国際比較】
※一般財団法人 電力中央研究所出典
かなり知識的な話が重なりましたので、ここで少し休憩です。続きは、明日のブログにて。
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忘年会
December 19, 2016
先週末は、焼山温泉清風館様にてカネタ建設の忘年会でした。当日の模様を写真ダイジェストでお届けします。
カネタ建設では、新年会に始まり、アンコウ会、花見会、納涼会など、ほぼ2ヶ月に1回のペースで全体の懇親会を開催しています。忘年会はその名の通り今年最後の懇親会。運営は会社内に組織されている互助会幹事の皆さんによって毎回様々な企画が催されます。
今回は、役員幹部の挨拶を極力省略し、その分、くじ引きによって乾杯のご発声役を決めるというスリリングな設えに・・・
見事その当たりクジを引いたのは・・・
この企画主旨にぴったりな人物が当選!昨年入社、今年二級建築士に合格したばかりの建築部Nさん。まさに今年のラッキーガール賞。
本人曰く「なんだか仕組まれたような気が・・・」。いえ、決してそのようなことはありません。まさにクジ運がいいとしかいいようがありません(笑)
今回の忘年会は総勢50名以上が参加!介護事業の拡大等、年々スタッフも増えており、非常に賑やかな宴席となりました。
こう見えて、実はとってもナイーブで優しい土木スタッフ。
若手土木技術者M君のお悩み相談会。相談内容もいろんな意味で若々しい(?)が故に先輩たちにイジられています(笑)
時間の経過と共に、当然このような光景も・・・
建築、不動産、土木、介護など様々な分野で活躍する個性豊かな仲間たちが一堂に会するカネタ建設。一人ひとりにきらりと光る才能があり、それが化学反応を起こして新しい取り組みが生まれるのですが、そのきっかけは、こうした普段からのコミュニケーションによって育まれている面がとても大きいのです。時代の流れにより、社内で飲み会をほとんどしなくなったという会社も多くなったようですが、日々の交流を通じて家族のようなつながりをもつことは、仕事においても人生においても大きな財産になると信じています。
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この道半世紀
December 18, 2016
昨日は、糸魚川市内で新築住宅の上棟式でした。
前日までのあいにくの降雪と当日の雨により、恒例の「餅まき」が実施できるか心配されましたが、見事にその時間までに雨が止みました。いつもながら本当に恵まれているなぁと感じるこの頃です。
餅まきには、近隣の皆様が大勢拾いに来てくださいました。お集まりいただきました皆様に心より感謝申し上げます。
さて、本日ご紹介する主人公は、長年カネタ建設の高い木造技術を支えてくれている丸山棟梁です。
丸山棟梁は、いよいよ来年でこの道なんと50年!まさに半世紀に渡って家づくりに携わってきた最長老。カネタ建設の創業者の時代からずっとお付き合いいただき、弊社の歴史そのものをよく知っている名棟梁。現在は、カネタ建設の安全衛生協力会「三丸会」の会長も務めていただいています。
その丸山棟梁が、この日の上棟式の開始直前、当時のことを少しだけ語ってくださいました。丸山棟梁がまだ駆け出しの大工であった当時、仕えていた棟梁の事情により大工組織が解散することになったことで、多くの仲間たちがその後の道をどうすべきか悩んでいた矢先、当時のカネタ建設創業者である猪又匤(いのまた ただし)より「私たちが仕事を創るから」と独立を促され、棟梁としての道へ踏み出したのがきっかけだったのだそうです。その当時のいきさつを懐かしく振り返りながら、「こうして三代に渡ってお世話になることができて、本当に感無量です」と現代表猪又に感謝の気持ちを伝えている棟梁の目頭からは一筋の熱い涙が伝っているのがとても印象的でした。
私たちの家づくりは、私たちだけの力では成立しません。そこに、素晴らしい人格と理念、そして技術を兼ね備えた職人たちの支援と協力があってはじめて成立します。そしてその関係は、一朝一夕で作られるものでもなければ、資金力でかき集められるものでもありません。景気の良い時も悪い時もお互い切磋琢磨と支え合う関係を重ねることによって信頼関係が深まり、その経験の積み重ねこそが究極の品質とコストバリューを生み出していると考えます。
あらためて、創業83年の歴史と、その間に実に多くの人のご縁に恵まれてきたことに感謝の気持ちを強くした上棟式でした。
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BURTON(バートン)ショップ
December 17, 2016
米国バーモント州バーリントンに本社のあるスノーボードの名門ブランド「BURTON(バートン)」。今月3日、長野県白馬村にある白馬五竜スキー場のベースセンター「エスカルプラザ」に新設オープンした季節限定ショップ「BURTON HAKUBA GORYU」。実は今回、こちらの店舗のデザイン・設計・施工を弊社カネタ建設にて担当させていただきました。
このお話は、企画・広告宣伝を担当する広告会社さんを通じて、弊社に相談がありました。「地域の特性に合わせてデザインしてほしい」というバートン側のオーダーを受け、カネタ建設の設計スタッフのアイディアにより、杉板を多用した山小屋風のデザインにまとめてみました。
季節限定オープンのショップですが、デザインは全てアメリカ本国のバートン本社にて監修が行われます。したがって、今回の店舗デザインはバートン本社が承認した正真正銘カネタオリジナルです。
テナントビルの構造柱を円柱で囲い、そこに本物の杉の皮を貼り合わせるなど、ちょっとした遊び心も。
キノイエの母体であるカネタ建設では、本社所在地が糸魚川市という立地特性もあり、糸魚川市を中心に、近年は長野県白馬村や富山県黒部市など、3県をまたぐ半径約50~60㎞圏内の近隣エリアにて様々なジャンルで建築の仕事の依頼をいただいており、住宅関係に留まらず、飲食・物販他店舗関係、事務所・社員寮関係、工場関係、医療施設、その他美術館や温泉・宿泊施設等とその範囲は非常に多岐に渡っています。これこそがキノイエの建築技術革新、発想の柔軟性や様々な趣向やオーダーをもつお客様への対応力の源泉となっています。
白馬美術館(長野県白馬村)
前沢パッシブハウス(富山県黒部市)※世界最高レベルの高性能断熱住宅「パッシブハウス」国内12棟目 北陸エリア初の認定(設計:キーアーキテクツ)
ちょっと話は変わりますが、創業1520年、実に490年以上の歴史を誇る羊羹(ようかん)で有名な老舗 「虎屋」には、「伝統とは革新の連続」という格言があります。室町時代に創業した和菓子の老舗でありながら、いつの時代も伝統の技術に新しい感覚を盛り込み、最良の原材料を使用して最高の品質の和菓子を作ることに傾注してきました。そして、今や海外出店や、和と洋の垣根を超えたカフェをオープンするなど、その経営は実にしなやか。単なる懐古主義や保守主義ではなく、「進取の精神」を持ち続けている点に、本物として輝き続けるヒントがあるのではないかと思います。
私たちの会社の歴史は創業から83年。住宅会社の歴史としてはとても古い部類ではありますが、それでも虎屋さんの6分の一程度の歴史しかありません。私たちは虎屋さんを見習い、家づくりにおいても果敢に挑戦と革新を続け、いつも時代にもお客様のニーズにしなやかに対応できる本物の住宅会社でありたいと考えています。
昭和8年の創業から十数年ほど経過した昭和20年代の頃のものと思われる当時のカネタ建設(当時の名称はカネタ猪又材木店)の写真。
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ずらす間取り
December 16, 2016
少し専門的な話になりますが、キノイエの基本設計では、メーターモジュールを採用しています。
メーターモジュールとは、1mを基本寸法とする設計基準のことで、一般的な「尺モジュール」と比べて約90mm長くなります。そのため廊下や階段、浴室・洗面所、トイレなどのスペースが広くなる等のメリットがある半面、建物の面積が同じだとすると、廊下や浴室等のスペースが広くなる分だけ、居室の面積は狭くなる点や、和室のデザインが崩れやすい等のデメリットがあり、一長一短です。(他にも細かな要素がたくさんありますが、複雑になりますので、ここではあえて単純な話に置き換えています)
キノイエでは、空間設計の様々な利点や建築コストとのバランスを考えた結果、本体のベースユニットを6m×8mのメーターモジュールで基本構成しています。いちばんの利点は、室内に極力廊下を配置しない設計のため、反対に限られた面積の中で最大限居室を広く取ることが可能になっています。
また、最大のデメリットである「和室のデザインが崩れやすい」という点にも、ひと工夫を入れ、和室部分のみあえて尺モジュールを採用しました。これにより、リビングスペースと和室との間に微妙な「ずれ」が生まれます。この「ずれ」こそが空間に独特の間(あそび)を創り出します。同時にキッチンスペースとの間に人が通り抜けられるぎりぎりの隙間が生まれ、回遊性が実現するなど全てにプラスの相乗効果が生まれています。
小さくつくって大きく暮らす・・・設計手法の一つ「ずらす」を効果的に使うことで、たとえ本体サイズがコンパクトでも、空間の広がりは大きく変貌します。ほんのちょっとの発想の違いですが、家づくりのセンスが問われる非常に重要な部分であると考えます。
キノイエの設計手法には、この他にも様々な工夫を取り入れていますが、ちょっと複雑になりますので、また別の機会に少しずつ解説していきたいと思います。
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