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『とと姉ちゃん』と『暮しの手帖』

August 27, 2016

視聴率20%以上の人気を誇る、現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』。

主人公・小橋常子のモデルとなっているのは、故・大橋鎭子(おおはし しずこ)さん。その大橋さんが天才編集者である故・花森安治(はなもり やすじ)さんと共に創刊したのが雑誌『暮しの手帖』です。

 

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暮らしの手帖

 

二人が『美しい暮しの手帖』として第1号を創刊したのは、昭和23(1948)年。ファッションや料理、編み物、収納術など衣食住に関わる「生活の知恵」を紹介し、主婦の強い味方として、現在に至るまで発刊は続いています。暮しの手帖社さんのサイトには、「防空壕のなかで、自分が見たい、知りたいと思うことを本にすれば、戦争で学校にも満足に行けなかった多くの女性たちに喜んでもらえるだろう」という大橋さんの思いと、戦争への反省から「一人ひとりが自分の暮らしを大切にすることを通じて、戦争のない平和な世の中にしたい」という花森さんの思いが綴られています。

 

暮らしの手帖

 

もちろん、住まいにまつわる様々な特集記事も組まれました。実際、先日も『とと姉ちゃん』では、台所特集が取り上げられていましたが、当時の『暮しの手帖』20号(昭和28年)以降でも、こんな記事が掲載されています。

 

暮らしの手帖

 

暮らしの手帖

 

暮らしの手帖

 

暮しの手帖

 

暮しの手帖

 

暮しの手帖

 

「小さくつくって大きく暮らす」キノイエの思想に非常に重なる部分があり、とても興味深い内容です。

 

また、経済成長とともに物が出回り始めると、どれが役に立つ商品かを広く消費者に伝え、また本当に良いものをメーカーに製造してもらうためにも、商品テストを実施。生活者の立場に立った実証主義のテストは多くの読者の高い評価と支持を得ることに成功し、最大発行部数が90万部を超える国民的雑誌に成長しました。

 

なかでもこの雑誌の特徴として有名なのは、一切広告を掲載しないというスタイルを選択し貫いてきたことです。(一説では、倒産の危機の際一度だけ掲載の事実があるようです)

 

理由は2つ。編集長の花村さんの「一つの文字から一枚の写真、小さなイラストまで、雑誌の全ての部分を自分達の目の届く所に置いておきたい」という思いと、広告を載せてしまうと、商品の正しい批評や紹介がやりにくいという理由です。

 

そして、この商品テストの徹底ぶり、スケールの大きさが違います。

 

暮らしの手帖

 

昭和44年の第99号「自動トースターをテストする」では、トースター33台を購入し、1台あたり2000枚ずつ実際に焼いて、焼け具合や耐久性をテストしています。実に4万3088枚もの焼かれた食パンが山積みされた写真は圧巻です。

 

暮らしの手帖

 

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また、製品の品質が悪かったり、広告に記載された性能を十分に発揮できないとなれば、入念なテスト結果と共にその製品を徹底的に糾弾をします。その代表的なエピソードが、昭和43年発刊の98号「愚劣なる食器洗い機」と名付けられた記事です。

 

暮らしの手帖

 

当時、発売されて間もなかった各社の「食器洗い機」は高価である上に、食べ残しがすすぎ切れなかったりと、欠点が目立ち劣悪でした。二人にとって、そうした製品を世に出すことへの怒りは強く、発売された各社の製品を、その号以降も何回かに分けて軒並みテストし、詳細に事実を伝えています。特に、横倒しにされた食器洗い機の写真は、社会的に大きな反響を呼びました。

 

暮らしの手帖

 

これから連続ドラマの中でも佳境を迎え、この商品テストの場面が出てきます。ドラマの中では、純粋にテスト結果を読者に伝えていこうとする主人公と、それをあらゆる手で妨害工作を行う大手メーカーとの壮絶な戦いが描かれていくようです。

 

暮らしの手帖

 

そんなことから、ふと、現在、住宅業界で起きている激しい価格競争とイメージ・広告競争の様子に目をやると、様々な思いがめぐってきました。情報が巷に溢れすぎた結果、お客様にとって「暮らしを守る本当のいい家」についての判断、これがとても難しい時代になったと感じます。何を選んでいいかわからない。住んでみないと答えが出ない。しかし、買った後では取り返しがつかない。そんな買い物の筆頭が住まいです。だからこそ、この『暮しの手帖』のように、宣伝やイメージ戦略に踊らされず、客観的な厳しい目をもって住宅産業の構造や作り手の違いが語られる日が来れば、消費者の皆さんにとってこれほどの大きなメリットはないのではないか?と思う今日この頃です。

 

 

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